エクストラバージン オリーブオイルの最高級品は、何で決まるのでしょうか。
最高級という表現はいささか過剰であるのと、販売者が言うのは憚られることなのですが、業界として言えることがあります。
エクストラバージン オリーブオイルの品質は、エクストラバージン オリーブオイルがそうである条件以外に、別の条件があるということです。それを幾つか列記してみました。
1.新鮮であること

酸化した油を摂りたい人はいませんので、新鮮さが重要な要素であることは言うまでもありません。
エクストラバージン オリーブオイルの要件として、酸度(酸化度)が存在することは事実なのですが、酸度だけが新鮮さを表す指標ではなく、寧ろ、測定後に徐々に酸度が上がっていくことは当然である以上は、酸度が上がりにくいエクストラバージン オリーブオイルが新鮮であると言えます。
それには、ポリフェノール量が重要です。
ポリフェノール量は、産地、果実採取方法、搾油方法、保存方法、充填する容器、容器に入った後の輸送環境、保管環境等によって含有量が変わります。
この中で、メーカーが関わっているのは、最後の保管環境以外の全てです。
まず、産地は、砂漠に近いか、地中海性気候の環境であるほどにポリフェノール量は増える傾向にあります。湿度の高い地域、水がすぐに得られる環境下では、ポリフェノール量の余り多くないエクストラバージン オリーブオイルができやすくなります。
また、果実採取の方法は、最も迅速に終えられる方法、つまりは機械式が望ましいです。手摘みは非常に時間がかかり、オリーブ農園の規模や製造者の従業員の人数によっては収穫の最中に日光にあたって酸化するリスクが高まるからです。
近年の機械式の果実収穫は、オリーブの木を傷めにくいように改良が重ねられており、環境にも配慮されています。
当店で扱うオリーブオイルは、米国バリアーニとスペインのスエルテアルタから輸入しております。スエルテアルタでは当店が輸入開始する前から、機械式のオリーブ果実の摘み取りを行っていました。米国バリアーニでは2021年秋産から機械式の摘み取りに変更しています。
さらに、摘み取り後、最長でも4時間以内に搾油を行っているかどうかが重要です。オリーブ果実は、収穫後に日光を浴びることで徐々に酸化していくため、収穫後に短時間で搾油しなければならないためです。
業界の平均値はわかりませんが、自社内に搾油施設がなければ共同搾油所に運び込み、順番を待つ必要があるため、かなりの時間が経過している可能性が高くなります。
当店で輸入するオリーブオイルを製造している米国バリアーニでは最長で果実採取後4時間以内、スペインのスエルテアルタでは最長で2時間以内に搾油を開始しています。
そして、いずれも搾油方法は低温での温度管理がなされ、空気に触れない機械管理の製法で、空気に触れて酸化しやすい御影石による中世古式製法は行っておりません。
また、オリーブオイルの保管はステンレスタンクで温度管理がなされ、遮光瓶に充填し、赤道を通るスペインからはリーファーコンテナ便、アメリカからは北太平洋航路で海温の低い海域を通って温度管理しており、日本到着後も定温倉庫で管理しています。
2. 透明性(transparency)

透明性とは、最も新しい年度のオリーブオイルであることを考えられる最善の方法で明示しているかということです。
本件がなぜ重要であるのかは、オリーブオイルに関する多くの偽装事件を見れば明らかでしょう。
世の中には、次のようなオリーブオイル製造業者がいます。不作の年のために、豊作であった年のオリーブオイルを貯蔵しておき、その年にできたオリーブオイルとして出荷するのです。
この場合、賞味期限ラベルだけを貼り付けて出荷しているため、消費者が手に取った時に、「ああ、新しいものなのだな」としか思いません。
しかし、中身がそうであるのかどうかは、食べてみなければわかりません。
機械式の摘み取りを行い、短時間で搾油をしているといっても、日本の消費者に届くオリーブオイルが数年前に製造されていたとしたら、残念でなりません。
これは製造者と輸入者、消費者の全員がテイスティングすればよいことなのですが、メーカーが自主的にこれを開示していることが重要だと私達は考えています。
米国バリアーニとスペインのスエルテアルタでは、ラベル上で果実採取時期とボトリング時期を明示しています。
これは、同業者による不正行為を見て、彼らのように思われたくないという崇高なプライドで、私達が輸入を開始する前から彼らが行っている誇りある自衛行為なのです。
参考:エクストラ バージン オリーブ オイルの本物の探し方
3.オリーブオイルのもう一つの価値尺度

オリーブオイルの価値として私達が提案したいのは、うま味です。香りがどれだけ強く、華やかであるかも重要な要素であると思いますが、オリーブオイルは香りだけを楽しむものではなく、食べるためのものです。
ですから、美味しいかどうかが全てであると考えています。
では、オリーブオイルの美味しさは何で決まるのでしょうか。
それは、土壌の栄養分がどれだけ果実に取り込まれ、うま味として残したかではないかと私達は考えています。
それは、米国バリアーニとスペインのスエルテアルタの両方が認めていることなのです。
「よいオリーブオイルかどうかは、土の色を見ただけでわかる」、とスエルテアルタのオーナーであるマヌエル侯爵は言っています。やはり、作り手が一番わかっていることなのでしょう。
そのうま味とは、オイルのみを口に含んだ時に、ポリフェノールによる辛味や苦味などを感じた後、口の中で感じる心地よく、満足をもたらすものです。
他の質の高いあらゆる食を通して感じられるうま味とは別の美味しさ、うま味が、オリーブオイルでも感じられます。
そういったものがどれだけ含まれるのかで、最高級オリーブオイルとしての評価がなされるのではないかと当店では考えています。
エクストラバージン・オリーブオイルは世界に沢山出ていますが、私達にとっての最高級は、創業以来輸入するバリアーニ、そして2016年から輸入を開始したスエルテアルタのオリーブオイルです。
その中でもバリアーニのグリーンオリーブオイルは突出しており、このオイルには他にはない濃厚なうま味があります。それは、お客様からのレビューでもご確認頂けます。
これらのオリーブオイルを、自信を持ってお勧めいたします。
当店で輸入する全てのオリーブオイルをどのように選べばよいのかについては、以下のエクストラバージン オリーブオイルの選び方ページをご覧くださいませ。
エクストラバージン オリーブオイルの選び方